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フジの人工尾びれプロジェクト

<Chapter 4 The チーム>

☆ 2004年 11月
更なる波乱、その正体は僕自身にとって、本当に身を削られる思いがするほど厳しいものだった。 その波乱を語る前に、それ以前のプロセスについて説明をします。

小さくなったフジの尾びれ

シェルタイプを完成させるには、僕一人の力だけではどうしても無理で、カウリングタイプで培った技術をもとにブリヂストンの更なる協力が必要不可欠だった。
しかし、その協力をしてもらうためには、ポリカーボネイト製の固定部位(フジの小さくなった尾びれを押さえる重要な部位)によって、フジの尾びれに擦れ傷が発生しないという証明がどうしても必要だった。

獣医である植田君、ブリヂストンの加藤さん、斉藤さんと相談の上、シェルタイプのポリカーボネイト部分に組み合わせるゴムと中芯をブリヂストンとして正式に作る前に、まず僕が別の素材で仮のものを作り、擦れが出来ないか証明するためのテストをすることが決まった。
そして、ようやく完成したシェルタイプ0号。(ゼロという名はブリヂストン製のゴムと中芯を組み合わせたときに1号と名づけたかったため)
このテストは僕の願った通りの結果で、ほぼ成功と言っていいものだった。ただ、クッション材の粘着テープの部分に問題が残った。そこで、更なるクッション材の改良として、今まで使っていた発泡ウレタンのモランに加え、ウェットスーツなどに使われているネオプレーンゴムを組み合わせることで、より完璧を目指すことになった。しかし、このことが後にとんでもない結果につながろうとはまったく気がつかないまま、その加工に没頭し続けたのである。

☆ 2004年12月

そして迎えたテストの日、その出来事は起こってしまった。
クッション部分を改良したシェルタイプ0号を装着したフジが、まさにジャンプしようとした瞬間。突然、人工尾びれがフジの体からすっぽりはずれ、プールの底へと沈んでいってしまったのである。
はじめ、何が起こったのか分からず混乱した頭の中で「どうして?何が?」、その言葉だけが壊れたテープのように繰り返し響いていた。はっと我に返り、フジのことが心配でいてもたってもいられなかった。フジの尾びれは大丈夫か?怪我してないだろうか?
フジに駆け寄り、フジの尾びれに触れてホッと胸をなでおろした。「よかった、怪我してないですね」トレーナーの古網君の言葉で気持ちが少し軽くなった。
しかし、拾い上げたシェルタイプ0号を手にしたとき、その軽くなった気持ちはどん底へと落ちていった。「削りすぎたんだ!」クッション材の改良でポリカーボネイトを11月のテストのときより削りすぎてしまい、フジの力に耐え切れない弱さになってしまっていたんだ。それはもう、自分で自分を殴りたい気分だった。
ポリカーボネイトという素材に対する過度の信頼と、自分の彫刻技術に対する慢心がこんな結果を招いたんだと、呆然と立ちつくした。そして、往生際悪くひとえの望みをかけ、微調整を施した0号で臨んだ二度目のテストで、結局はぐさりと、とどめをさされる形となった。
ポリカーボネイトの一部に亀裂が入り、もう二度と使えないものとなってしまったのだ!
本業の作品創りを3ヶ月以上も中断したまま、心血を注いで作り上げたシェルタイプ0号が壊れてしまった。本当は、一度目のテストのときに分かっていたのかもしれない。この0号尾びれは、もうだめなんだと・・・・。
プールサイドで壊れた0号を抱えながら、今後のことを思い巡らせていた。
ちょうどそのときだった。新たなカウリングタイプのテストのために到着した、ブリヂストンの加藤さんと斉藤さんの姿が目に飛び込んできたのは。そして、ハッと気づいた、彼らはこんなつらい思いを何度も何度も乗り越え、今ここに居るんだと。
「すごい!」まさに目からうろこがはがれる思いだった。こんなすごい人たちと今まで一緒にやってきたんだ。シェルタイプ0号が壊れたおかげで、ひとりで戦っていたと思い込んでいた自分が間違っていたことに気づかされた。このとき、本当の意味でチームの一員になれた気がした。

●プロローグ  
● Chapter 1
フジとの出会い
● Chapter 2
HARAKARA Madeのポリカの人工尾びれが誕生
● Chapter 3
ブリヂストンとのシェルタイプ人工尾びれプロジェクト開始
● Chapter 4
The チーム
● Chapter 5
新たな挑戦
● Chapter 6 いよいよ完成フォルムへ、そしてフィナーレ
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